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スイスフラン円の特徴/相場観/重要指標を徹底解説

スイスフラン円(CHF/JPY)は、外国為替市場で取引される通貨ペアの一つです。この記事では、スイスフラン円の特徴や過去の値動き、今後の見通しを考える上で重要な経済指標について、初心者の方にも分かりやすく解説します。特に「安全資産」としての性質や、過去に市場を揺るがした出来事など、この通貨ペアを理解する上で欠かせないポイントを押さえていきましょう。

通貨ペアの特徴

スイスフラン円(CHF/JPY)は、スイスの通貨であるスイスフラン(CHF)と日本の通貨である日本円(JPY)の組み合わせです。この通貨ペアを理解するためには、まずそれぞれの通貨と、それらが組み合わさることで生まれる特徴を知ることが大切です。

スイスフラン(CHF)と日本円(JPY)の基本

スイスフラン(CHF)は、スイス連邦およびリヒテンシュタイン公国で使用されている公式通貨です 。通貨記号は「SFr.」と表記されることもあります 。補助単位としてサンチーム(Ct)やラッペン(Rp)があり、100サンチーム(またはラッペン)が1スイスフランに相当します 。国際決済銀行(BIS)が2019年に行った調査によると、スイスフランは世界の外国為替市場において7番目に取引量の多い通貨でした 。  

一方、日本円(JPY)は日本の公式通貨です。米ドル、ユーロに次いで世界で3番目に取引量が多く、アジアを代表する主要通貨の一つとして国際的な金融市場で重要な役割を担っています 。  

スイスフラン円(CHF/JPY)の為替レートは、1スイスフランを交換するために何円が必要かを示しています。例えば、CHF/JPYが170円であれば、1スイスフランが170円の価値を持つことを意味します。

「安全資産」としてのスイスフラン

スイスフランの最も重要な特徴の一つは、「安全資産」としての性質です。スイスは1815年のウィーン会議で永世中立国として国際的に承認されて以来、戦争や紛争に関与しない中立的な立場を維持してきました 。この政治的な安定性は、通貨の信頼性を高める大きな要因となっています 。  

加えて、スイス経済は非常に安定しており、健全な財政運営が行われ、経常収支(貿易やサービスの収支)が黒字であることが多いです 。また、歴史的にインフレ率が低く抑えられており、通貨価値が安定している傾向があります 。スイスの銀行システムに対する国際的な信頼も厚いです 。  

これらの理由から、世界的な金融危機、経済不安、地政学的な緊張が高まると、投資家はリスクを避けるために、より安全と考えられる資産へ資金を移動させます。スイスフランは、そのような状況下で資金の「避難先」として選ばれやすく、「安全通貨」または「避難通貨」と呼ばれ、買われる傾向があります 。この現象は「有事のスイス買い」とも表現されます 。  

日本円も安全資産? 二つの安全通貨ペア

実は、日本円も安全資産と見なされることがあります。日本が世界最大の対外純資産国(海外に保有する資産が負債を大きく上回る国)であること、長年にわたる低金利、そしてデフレ(物価下落)傾向が続いてきたことなどが理由として挙げられます 。デフレ下では、モノの値段が下がる一方で、相対的に通貨の価値は下がりにくいため、有事の際に価値が保たれやすいと考えられるのです 。  

スイスフランと日本円が共に安全資産とされる性質を持つため、CHF/JPYは「安全資産同士の通貨ペア」という、他の通貨ペアとは異なるユニークな特徴を持っています。世界的なリスク回避局面(リスクオフ)では、通常、安全資産は他のリスクが高いとされる通貨(例えば豪ドルやNZドルなど)に対して買われます。しかし、CHF/JPYの場合、どちらの通貨も買われる可能性があるため、単純に円高・フラン高、あるいは円安・フラン安のどちらか一方に動くとは限りません。その時々の状況によって、スイスと日本のどちらがより「安全」と市場に判断されるかによって、方向性が決まる傾向があります。例えば、欧州で金融不安が高まった際には、地理的に近いスイスよりも日本円が選好されるかもしれませんし、逆にアジア地域で地政学リスクが高まればスイスフランがより買われるかもしれません。このように、CHF/JPYの値動きは、リスクオフ局面においても相対的な安全性の認識に左右される複雑さを持っています。

ユーロ(EUR)との関連性

スイスは地理的にユーロ圏と隣接しており、経済的にも貿易などを通じて深いつながりを持っています 。そのため、金融市場が比較的落ち着いている「平常時」には、スイスフランはユーロと似たような値動き(正の相関)を示すことが多いと言われています 。つまり、ユーロが他の通貨に対して上昇すればスイスフランも上昇しやすく、ユーロが下落すればスイスフランも下落しやすい傾向があるということです。  

しかし、この関係性は常に成り立つわけではありません。特に、ユーロ圏内で経済問題や金融危機(例えば後述する欧州債務危機)が発生した場合、状況は一変します。ユーロの信認が揺らぐと、投資家はユーロを売り、安全な避難先としてスイスフランを買い求めます 。このような状況下では、スイスフランはユーロから切り離され、独自の動き(典型的にはユーロに対して上昇)を見せることがあります 。スイスフランの安全資産としての側面が、ユーロとの連動性を断ち切る要因となるのです。このため、ユーロとの相関性は市場環境によって変化する「条件付き」の関係であると理解しておくことが重要です。  

スイス国立銀行(SNB)の役割

スイスの金融政策を決定し、実行するのはスイス国立銀行(SNB:Swiss National Bank、スイス中銀とも呼ばれます)です 。SNBの主な目的は物価の安定を維持することですが 、スイスフランの為替レートが経済に与える影響も重視しています。特に、スイスフランが急激に上昇(フラン高)すると、輸出企業の競争力が低下したり、デフレ圧力が強まったりするため、過去にはフラン高を抑制するための市場介入を行ったことがあります(後述のフランショックに関連) 。SNBが発表する政策金利や金融政策の方針、総裁の発言などは、スイスフラン相場に大きな影響を与える可能性があるため、市場参加者から常に注目されています 。  

低金利通貨としての側面

スイスフランは、日本円と同様に、歴史的に見て政策金利が低い水準で推移してきた通貨です 。過去にはマイナス金利政策が導入されていた時期もあります 。日本円も超低金利政策が長期間続いてきました。そのため、CHF/JPYは二国間の金利差が比較的小さく、金利差収益(スワップポイント)を狙ったキャリートレードの対象としては、他の高金利通貨とのペアに比べて魅力が低いとされています。  

金利差が小さいということは、CHF/JPYの相場変動要因として、金利差そのものよりも、他の要因の重要性が相対的に高まることを意味します。具体的には、SNBと日銀の金融政策の「方向性の違い」(どちらが先に利上げに踏み切るか、利上げペースはどうかなど)に対する市場の期待や、世界的なリスクセンチメントの変化(安全資産への需要の変化)、あるいは両国のインフレ率の差などが、より大きな価格変動ドライバーとなりやすいと考えられます。

ボラティリティ(価格変動率)

平常時におけるCHF/JPYの価格変動率(ボラティリティ)は、例えば英ポンド/円(GBP/JPY)のような通貨ペアと比較すると、一般的にはやや低い傾向にあるとされています 。しかし、これはあくまで平常時の話です。ひとたびSNBによる予期せぬ政策変更や大規模な市場介入があった場合、あるいは世界的な金融危機が発生した場合には、極めて短時間のうちに甚大な価格変動を引き起こす可能性を秘めています。その代表例が、後述する「フランショック」です 。  

過去の大きな値動き

スイスフラン円は、過去にいくつかの世界的な出来事によって大きな変動を経験してきました。これらの歴史的な値動きを知ることは、CHF/JPYの特性を理解する上で役立ちます。

リーマンショック(2008年)

2008年9月、米国の有力投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけに、世界的な金融危機が発生しました 。この危機は世界経済全体に深刻な影響を及ぼし、金融市場は大混乱に陥りました。  

市場参加者はリスクを極端に回避する姿勢を強め、株式などのリスク資産を売却し、より安全とされる資産へ資金を移動させました。この際、安全資産とされる日本円とスイスフランは、他の多くの通貨に対して買われる傾向がありました 。EUR/JPYなどのクロス円は大幅な円高(下落)を記録しました 。CHF/JPYについては、円買い圧力とフラン買い圧力が同時に発生するため、他のクロス円とは異なる動きを見せた可能性があります。どちらの安全資産への需要がより強かったかによって、方向性が決まったと考えられます。  

欧州債務危機(2010年~2012年頃)

2009年末にギリシャの財政赤字隠蔽が発覚したことを発端に、アイルランド、ポルトガル、スペインといった南欧諸国へ信用不安が連鎖的に広がったのが欧州債務危機(ユーロ危機とも呼ばれます)です 。  

この危機により、ユーロという通貨、そしてユーロ圏経済全体への信頼が大きく揺らぎました。投資家はリスクの高いユーロ圏の資産から資金を引き揚げ、安全な避難先を求めました。その主要な受け皿となったのがスイスフランです 。地理的な近さもあり、大量の資金がスイスフランへと流入した結果、スイスフランはユーロに対して急騰しました。  

急激なフラン高は、輸出への依存度が高いスイス経済にとって大きな打撃となるため、SNBはこれを阻止する必要に迫られました。そして2011年9月、SNBは「1ユーロ=1.20スイスフラン」を為替レートの下限(フラン高の上限)として設定し、この水準を防衛するためには無制限に市場介入(フラン売り・ユーロ買い)を行うという異例の措置を発表しました 。このSNBによる上限設定が行われていた期間(2011年9月~2015年1月)、CHF/JPYのレートは、ユーロ円(EUR/JPY)の動きに強く連動する傾向が見られました。  

フランショック(2015年1月15日)

2015年1月15日、SNBは市場にとって全くの不意打ちとなる発表を行いました。それは、3年以上にわたって維持してきた対ユーロでの為替レート上限(1ユーロ=1.20フラン)を即時に撤廃するというものでした 。  

この決定の背景には、ECB(欧州中央銀行)が大規模な量的緩和策(QE)を導入するとの観測が強まっていたことがあります。ECBが大量のユーロを供給すれば、SNBは上限を防衛するため、さらに大規模なユーロ買い・フラン売り介入を続けなければならず、そのコストやリスクがSNBにとって許容できないレベルに達すると判断されたためと言われています。

上限撤廃の発表を受けて、外国為替市場は未曾有のパニックに見舞われました。ユーロ/スイスフランは発表直後のわずか数分間で、1.20フラン近辺から一時0.85フラン近辺まで、約30%も暴落(スイスフランが対ユーロで急騰)しました 。これは、ドル円で言えば120円だったものが一瞬で85円になるような、歴史的な変動でした。この影響は他の通貨ペアにも波及し、スイスフランは円を含むほぼ全ての通貨に対して急騰しました。CHF/JPYも、極めて短時間のうちに数十円規模で急騰するという、異常な値動きを記録しました。  

この「フランショック」と呼ばれる出来事は、為替レートの変動があまりにも急激かつ巨大であったため、多くのFX業者やヘッジファンド、個人投資家などが強制ロスカットや追証に見舞われ、莫大な損失を被りました 。一部のFX業者は、顧客の損失をカバーできずに経営破綻に追い込まれる事態にまで発展しました 。  

フランショックは、市場にいくつかの重要な教訓を残しました。第一に、中央銀行の政策決定、特にそれが市場の予想外であった場合、為替レートにいかに破壊的な影響を与えうるかを示しました。第二に、「安全資産」とされる通貨であっても、政策リスクによって極端なボラティリティが発生しうることを証明しました。「安全」とは必ずしも「低変動」を意味しないのです。この出来事以降、市場参加者はSNBの金融政策や発言に対して、より一層の警戒感を持って臨むようになりました。

近年の値動き

フランショック以降も、スイスフラン円は様々な要因によって変動してきました。特に2020年以降の近年の動きを見てみましょう。

コロナショック(2020年)以降

2020年初頭に発生した新型コロナウイルスのパンデミックは、世界経済と金融市場に大きな混乱をもたらしました。当初は、感染拡大への懸念や経済活動の停止により、リスク回避の動きが強まり、安全資産とされる円やスイスフランが買われる場面も見られました 。しかしその後は、各国政府や中央銀行による大規模な経済対策や金融緩和、ワクチン開発への期待など、様々な要因が複雑に絡み合い、相場は一進一退の展開となりました 。  

2021年に入ると、コロナ禍からの経済再開に伴う需要の急回復や、サプライチェーンの混乱などを背景に、世界的にインフレ圧力が高まり始めました 。これが、その後の金融政策の大きな転換点へとつながっていきます。  

金融政策の方向性の違い(SNB vs BOJ)

世界的なインフレ高進に対応するため、米国(FRB)やユーロ圏(ECB)など、多くの主要中央銀行は金融引き締めに舵を切りました。SNBも例外ではなく、インフレ抑制のために2022年から利上げを開始し、政策金利を引き上げていきました(例:2023年6月には1.75%へ到達) 。  

一方で、日本銀行(BOJ)は、日本のインフレ率が他国ほど急激には上昇しなかったことや、持続的な2%の物価目標達成には至っていないとの判断から、長期間にわたり大規模な金融緩和策(マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールなど)を維持しました 。  

このSNB(利上げ)とBOJ(緩和維持)の金融政策の方向性の明確な違いは、両国間の金利差を拡大させる主な要因となりました。金利の低い円を売って、相対的に金利が高くなったスイスフランを買う動きが強まり、これが近年のCHF/JPY相場を押し上げる(円安・フラン高方向へ)大きな原動力となりました 。  

しかし、2024年に入ると状況は変化し始めます。スイスのインフレ率が目標範囲内に落ち着いてきたことなどから、SNBは利下げに転じました 。一方、日本では賃上げの動きなども背景にインフレ率が上昇し、BOJはついにマイナス金利政策を解除し、利上げを実施しました 。このように、両中央銀行の金融政策の方向性が再び変化しつつあり、今後の金利差の動向がCHF/JPY相場の重要な焦点となっています。  

世界的なリスクセンチメントの影響

近年も、ロシアによるウクライナ侵攻(2022年~)や中東情勢の緊迫化といった地政学リスク、あるいは世界経済の減速懸念などが、市場のリスクセンチメント(市場参加者の心理状態)に影響を与えています 。  

リスク回避ムードが強まると、伝統的に安全資産とされるスイスフランや日本円は買われやすくなります。しかし、前述したようにCHF/JPYは安全資産同士のペアであるため、その影響は単純ではありません。リスクオフの局面でCHF/JPYがどちらに動くかは、そのリスクの性質や、どちらの通貨がより強く「安全」と市場に認識されるかによって左右されます。例えば、欧州に近い地域での紛争であればフランよりも円が買われるかもしれませんし、世界的な金融システム不安であれば両通貨が買われる中で相対的にどちらが強いか、といった複雑な力学が働きます。

インフレ動向

スイスと日本のインフレ率(消費者物価指数、CPI)の動向は、それぞれの金融政策の方向性を決定づける上で極めて重要であり、CHF/JPY相場を予想する上での鍵となります 。  

SNBはインフレ目標を0~2%の範囲としています 。スイスのCPIがこの範囲内に安定的に収まるかどうかが、今後の追加利下げや利上げの可能性を探る上で重要です。  

一方、BOJは持続的・安定的な2%の物価目標達成を目指しています 。日本のCPIがこの目標を安定的に達成できるか、また、賃金上昇を伴う「良いインフレ」が定着するかが、今後の追加利上げのペースなどを占う上で注目されます。  

両国のインフレ率と、それに対する金融政策の反応の違いが、今後のCHF/JPYのトレンドを形成していくと考えられます。

経済指標

スイスフラン円(CHF/JPY)の相場は、スイスと日本の両国の経済状況や金融政策、さらには世界経済全体の動向など、多くの要因によって日々変動しています。これらの動きを予測したり、背景を理解したりする上で、定期的に発表される「経済指標」は非常に重要な情報源となります。

特に、スイス国立銀行(SNB)や日本銀行(BOJ)が金融政策を決定する会合の結果や、両国の物価上昇率(CPI)、経済成長率(GDP)といった指標は、市場に大きな影響を与えることがあります 。これらの指標の発表時には、市場の予想と実際の結果との間に差があると、相場が大きく動く傾向があります。  

初心者の方がCHF/JPYの動きを理解するためには、特に重要度の高い指標を把握しておくことが有効です。以下に、スイスと日本の主要な経済指標をまとめました。発表頻度や市場への影響度も参考に、どの指標に注目すべきかを知る手がかりとしてください。

指標名 (Indicator Name)発表元 (Source)発表頻度 (Frequency)市場影響度 (Market Impact)内容・CHF/JPYへの影響 (Description/Impact on CHF/JPY)関連Snippet例 (Example Snippets)
スイス
SNB政策金利 (SNB Policy Rate)スイス国立銀行 (SNB)四半期毎スイスの金融政策の根幹。利上げはCHF高要因、利下げはCHF安要因となりやすい。市場予想との乖離が大きいと変動も大きい。フランショックの記憶から注目度は特に高い。
消費者物価指数 (CPI)スイス連邦統計局月次中~高インフレ動向を示し、SNBの金融政策判断に影響。目標(0-2%)からの乖離や市場予想との差がCHF相場を動かす要因。
実質GDP (Real GDP)スイス連邦経済省経済管轄庁 (SECO)四半期毎スイス経済全体の成長率を示す。予想からの乖離が大きい場合、CHF相場に影響。特に輸出依存度が高い特徴がある
KOF経済先行指数 (KOF Economic Barometer)スイス連邦工科大学景気調査機関 (KOF)月次スイス経済の先行きの見通しを示す合成指数。景況感の変化がCHF相場に影響を与えることがある。
日本
日銀金融政策決定会合 (BOJ Monetary Policy Meeting)日本銀行 (BOJ)年8回日本の金融政策(金利、資産買入等)を決定。政策変更や総裁会見での発言がJPY相場を通じてCHF/JPYに大きな影響。市場予想との乖離が重要
全国消費者物価指数 (National CPI)総務省月次中~高日本のインフレ動向を示し、BOJの金融政策判断の鍵。目標(2%)達成の持続性や市場予想との差がJPY相場を動かす
実質GDP (Real GDP)内閣府四半期毎(速報・改定)中~高日本経済全体の成長率を示す。速報値の注目度が高い。予想からの乖離が大きい場合、JPY相場に影響
日銀短観 (BOJ Tankan Survey)日本銀行 (BOJ)四半期毎企業の景況感を示す調査。特に大企業製造業の業況判断指数(DI)が注目され、景気の先行指標としてJPY相場に影響を与えることがある

これらの経済指標は、多くのFX情報サイトや金融ニュースサイトで発表スケジュール(経済指標カレンダー)が公開されています。発表時間や市場予想と合わせて確認し、相場がどのように反応するかを観察することで、CHF/JPYの値動きへの理解が深まるでしょう。

まとめ

スイスフラン円(CHF/JPY)は、外国為替市場の中でも独特な特徴を持つ通貨ペアです。

スイスフラン円(CHF/JPY)の要点: この通貨ペアは、共に「安全資産」とされるスイスフランと日本円の組み合わせです 。そのため、世界的な金融不安や地政学リスクが高まる局面では、他の通貨ペアとは異なる、時に複雑な値動きを見せることがあります。平常時には、地理的・経済的な近さからユーロとの連動性が見られることもありますが 、スイス国立銀行(SNB)の金融政策が市場に大きなサプライズを与え、相場を動かす力を持っている点は特筆すべきでしょう。特に2015年のフランショックは、その影響力の大きさを物語っています 。  

変動要因の理解: CHF/JPYの相場は、様々な要因によって動かされます。リーマンショックや欧州債務危機といった過去の世界的な出来事は、安全資産としてのCHFとJPYの需要を変化させ、相場に大きな影響を与えました。近年では、SNBと日銀という両国の中央銀行の金融政策の方向性の違いが、金利差を通じて相場の大きなトレンドを形成する要因となっています 。加えて、世界的なインフレの動向や、市場参加者のリスクに対する姿勢(リスクセンチメント)の変化も、日々の値動きに影響を与えています。  

情報収集の重要性: CHF/JPYの取引を検討する、あるいは値動きを理解しようとする際には、関連する情報を継続的に収集することが不可欠です。特に、SNBと日銀の金融政策決定会合の結果や声明、総裁記者会見の内容は重要です。また、両国の消費者物価指数(CPI)や国内総生産(GDP)といった主要な経済指標の発表内容と市場予想との比較も、相場の方向性を読む上で役立ちます。さらに、世界全体の経済ニュースや地政学的な出来事にも注意を払い、市場全体の雰囲気を把握することも大切です。

初心者の方へ: この記事で解説したスイスフラン円の基本的な特徴、過去の大きな変動、そして近年の動きを動かしている要因を理解することは、この通貨ペアへの理解を深めるための重要な第一歩となります。なぜ相場が動いているのか、その背景にある理由を知ることで、ニュースや市場の変動に対して、より冷静かつ客観的に向き合うことができるようになるでしょう。外国為替取引にはリスクが伴いますが、基礎知識をしっかりと身につけることが、賢明な判断への近道となります。

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